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最新記事【2006年06月13日】

高脂血症とは、血液中に溶けている脂質の値が必要量よりも異常に多い状態を指します。
血液中の脂質のうち、コレステロール(LDLまたはHDL)、中性脂肪(TG)、リン脂質などのいずれかが標準値より高い値であれば、高脂血症と診断されます。高脂血症には、高コレステロール血症、高中性脂肪血症、高HDL血症などがあります。

血液中に多い脂質の種類により高脂血症のタイプが決まってきます。
1)総コレステロール値が高いタイプ
2)中性脂肪値が高いタイプ
3)両方の値が高いタイプ
血中脂質が高い状態が続くと狭心症、心筋梗塞などの心臓病にかかる危険性が高くなります。

日本動脈硬化学会の診断基準では、コレステロール値220mg/dl、中性脂肪150mg/dlが採用されています。いずれかがこの値以上なら高脂血症と診断されます。メタボリックシンドロームの診断基準では、中性脂肪値:150mg/dL以上、HDLコレステロール値:40mg/dL未満のいずれか、または両方とされています。

高脂血症となる主な原因は、大きく分けると以下の4つになります。
1)遺伝的な異常によるもの
2)食生活などの生活習慣によるもの
3)他の病気の影響によるもの
4)加齢によるもの

中高年に見られる大部分の高脂血症は、遺伝的素因に加えて食生活の偏りが原因です。これに、もともと持っている遺伝的に高脂血症になりやすい体質が重なると、高い頻度で高脂血症が発症します。特に食生活の影響は大きく、高カロリーの食事、コレステロール・飽和脂肪酸・糖質などを多く含む食品、アルコールの取り過ぎは、コレステロールや中性脂肪を増加させてしまいます。また、運動不足による肥満は、肝臓でつくられるコレステロールや中性脂肪を増加させます。肥満した人に高脂血症が多いのはこのためで、高脂血症を引き起こす最大の原因は太りやすい生活習慣なのです。

血液中に多い脂質の種類によって、高脂血症のタイプが決まってきます。

1)総コレステロール値が高いタイプ
→LDL(悪玉コレステロール)値が高い場合
高コレステロール血症:食生活の変化やライフスタイルの欧米化によって、日本でも高コレステロール血症の人が急増しています。日本国民の5人に1人は高コレステロール血症の疑いがあるとさえいわれています。

→HDL(善玉コレステロール)値が低い場合
低HDLコレステロール血症:中性脂肪によってHDLが減らされるという説があります。動脈硬化にかかる危険性が高まるので要注意です。

2)中性脂肪値が高いタイプ
高トリグリセライド(中性脂肪)血症:日本人男性の高脂血症に多いタイプで、アルコールと肥満の影響が大きいと考えられています。

3)両方の値が高いタイプ
複合型高脂血症:LDL(悪玉コレステロール)値と中性脂肪値の両方が高い場合は、早発性の冠動脈硬化症を合併する恐れがあります。

高脂血症にかかった人の8割以上は、生活習慣病のほとんどがそうであるように、生活習慣に関連した原因が重なることで発症しています。その生活習慣の中でも、食習慣に絡んだ要因が大きいため、高脂血症を防ぐにはまず食生活を適正に保つことが重要となってきます。

高脂血症を防ぐための食生活では、右の6項目が重要です。

1)まんべんなく、栄養バランスの良い食事を摂る
2)摂取総エネルギー量を抑えて、適正な体重を保つ
3)飽和脂肪酸(主に獣肉類の脂肪)1に対し、不飽和脂肪酸(主に植物性脂肪や魚の脂)を1.5~2の割合で摂る
4)ビタミンやミネラル、食物繊維もしっかり摂る
5)高コレステロールの人は、コレステロールを多く含む食品を控える
6)中性脂肪が高い人は、砂糖や果物などの糖質と、お酒を減らす

メタボリックシンドロームの診断基準では、中性脂肪値が150mg/dL以上、HDLコレステロール値が男性40mg/dL未満、女性50mg/dL未満とされています。

こうした高脂血症を予防するには、以下のような食事療法を行ないます。

□積極的に食べたい食品
・DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)を豊富に含む青魚、まぐろの脂身
・食物繊維の多い寒天、ひじき、切干大根
・カロリーの少ないきのこ、海藻類

□避けたい食品
・脂身の多い肉類
・砂糖
・果物

内臓脂肪型肥満は男性のほうが多いとされていますが、高脂血症は女性と男性のどちらが多いかご存知でしょうか。40歳代の男性では3人に1人の割合で高脂血症になっています。同年代の女性では5人に1人の割合のため、「自分とは無関係」と思い込んでいる女性がたいへん多くいます。

ところが、女性は50歳代以降になると高脂血症者がぐっと増え、男性の割合を追い抜くようになります。更年期以降は検診を受ける機会も少なく、自覚症状がないと自分の体に起こっている生理的変化を放置してしまうことがほとんどです。この原因となっているのは閉経で、女性ホルモンが急激に減少するためと見られています。

60歳代の女性の2人に1人以上が高脂血症になっており、その患者数は同世代の男性の約2倍にもなっている現実を、もう一度認識しなくてはなりません。

先天的に脂質代謝の過程になんらかの異常がある場合も、高脂血症になることがあります。これを原発性(一時性)高脂血症と呼んでいます。また、他の病気によって引き起こされる続発性(二次性)高脂血症というのもあります。

続発性(二次性)高脂血症には、以下のようなものがあります。

1)ネフローゼ症候群
たん白尿が多量に出て、血液中のたん白質が減り、低たん白血症を起こすと、全身がむくんでくる。また、コレステロールや中性脂肪などが増えて高脂血症が現れる腎臓病。
2)甲状腺機能低下症
本来は体を守るべきリンパ球が、自分の甲状腺を自分ではない外敵と見なして攻撃する自己免疫病。
3)原発性胆汁性肝硬変
アルコールや肝炎ウィルスではなく、何らかの原因で免疫 機能が異常をきたし、この胆汁の流れる管が攻撃され、破壊されてしまう病気。
4)ステロイド剤使用者

これらの病気によって高脂血症の状態が引き起こされても、続発性(二次性)高脂血症は元の病気を治療することで間接的に高脂血症が改善されます。

高脂血症の原因で、メタボリックシンドロームと密接な関係にあるのは、中性脂肪と善玉コレステロール(HDL)です。

中性脂肪値が高いということは、すなわち内臓に脂肪が蓄積していることを示しています。なぜなら、交感神経の刺激を受けた内臓脂肪は遊離脂肪酸を作り出し、門脈を通して運ばれた遊離脂肪酸は、肝臓での超低比重リポたん白質(VLDL)の合成を活発にし、血液中の中性脂肪値を高くするからです。中性脂肪が増加すれば、コレステロールの代謝にも影響を及ぼし、動脈硬化を進める結果となります。

血液中の中性脂肪を減らすには、中性脂肪になりやすい砂糖を使ったお菓子やジュース、果物、アルコールを控え、脂肪を燃焼しやすくする適度な運動を行なうことです。

高脂血症の原因で、メタボリックシンドロームと密接な関係にあるのは、中性脂肪と善玉コレステロール(HDL)です。このふたつは、片方が増えると片方が減るといったようにシーソーのような関係になっています。

善玉コレステロール(HDL)には血管壁にこびりついた悪玉コレステロール(LDL)を回収する働きがあります。そのため、中性脂肪が増加すると、善玉コレステロール(HDL)が減って余分なコレステロールの回収ができなくなり、血管が硬く、もろく、狭くなって動脈硬化がどんどん進行してしまいます。また、中性脂肪が多いと、血液が固まりやすくなることから、心筋梗塞や脳梗塞の原因になります。

内臓脂肪からは、TNF-αというアディポサイトカインが分泌され、インスリン抵抗性を強めます。インスリン抵抗性は、中性脂肪を分解するリポたん白リパーゼ(LPL)という酵素の働きや合成を抑えます。その結果、中性脂肪が増えるのです。

高脂血症の治療は生活習慣の改善と薬物療法が基本です。生活習慣の改善の中でも特に重要なのが食事療法で、これは適正体重の維持とも深く関わってきます。

【高脂血症の食事療法の基本】

第1段階(総摂取エネルギー、栄養素配分およびコレステロール摂取量の適正化)
1)総摂取エネルギーの適正化
  適正エネルギー摂取量=標準体重*×25~30(kcal)
*標準体重=[身長(m)]× [身長(m)]×22
2)栄養素配分の適正化
・炭水化物:60%
・たんぱく質:15~20%(獣鳥肉より魚肉・大豆たんぱくを多くする)
・脂肪:20~25%(獣鳥性脂肪を少なくし、植物性・魚類性脂肪を多くする)
・コレステロール:1日300mg以下
・食物繊維:25g以上
・アルコール:25g以下(他の合併症を考慮して指導する)
・その他:ビタミン(C、E、B6、B12、葉酸など)やポリフェノールの含量が多い野菜・果物などの食品を多くとる(ただし、果物は単糖類の含量も多いので1日80~100kcal以内が望ましい)。
(日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患診療ガイドライン」より)

第1段階で血清脂質が目標値とならない場合は第2段階へ進みます。

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