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最新記事【2006年06月15日】

昭和26年から昭和55年までの30年間、日本の死亡原因 の第1位 を占めていた「脳卒中」。この章では脳卒中のあらましについてご紹介します。

脳卒中患者は増加している
脳梗塞の種類
脳梗塞―ラクナ梗塞とは
脳梗塞―アテローム血栓性脳梗塞とは
脳梗塞―心原性脳塞栓症とは
脳梗塞の基礎知識
無症候性脳梗塞
くも膜下出血
脳卒中の予防法・1
脳卒中の予防法・2

昔から使われている病名の脳卒中ですが、単独の病気を指すものですはなく、いくつかの病気に分類されています。「脳の血管障害や循環障害によって起こる急性の脳症状」と定義されるそれは、次のような病名になります。

・頭蓋内出血(脳出血、くも膜下出血)
・脳梗塞(ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症)

脳卒中は、かつては日本人の死因の第1位でしたが、現在は1位ががん、2位が心臓病、そして3位が脳卒中となっています。3位にまで順位が下がってきたのは、患者数そのものが減少したわけではなく、医療の進歩により死亡する人が少なくなったに過ぎません。脳卒中というと、昔はそのほとんどが脳出血でしたが、最近では脳出血での死亡は減っており、脳梗塞での死亡が増加しています。

脳卒中の特徴として、高齢になるほど患者数が増えていきます。これは、脳卒中の主な原因が心臓病や動脈硬化であり、これらの疾患は加齢とともに進行していくからです。また、近親者に脳卒中経験者がいる人も、そうでない人よりも脳卒中を起こす確立が高いといわれていますので要注意です。

脳梗塞を発症すると、その後は認知症に進むケースが多く、いわゆる寝たきり老人を増やす原因ともなっています。脳梗塞による医療費の財政圧迫が社会問題にもなっており、老人性痴呆やアルツハイマー病、認知症などの研究が活発に行なわれ、脳梗塞の中でも認知症を併発するのは多発性脳梗塞だとわかってきました。

脳梗塞は、脳の血管に血栓が詰まったために血流が滞り、脳の組織が死んでしまうために、言語障害、意識障害、麻痺などの症状を引き起こします。脳梗塞は、ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症の3つに分類されます。

ラクナ梗塞(小梗塞)とは、皮質下の脳梗塞のうち、大きさが1.5cm以下の小さな脳梗塞をすべて含みます。ラクナとはフランス語で「湖」の意味で、脳の深い所に生じた小さな湖という意味からラクナ梗塞と呼ばれるようになりました。小さな脳梗塞ですが、生じた場所によっては半身麻痺などの重い症状になることも珍しくありません。細い動脈の閉塞が原因で多発することもあります。

日本人の血管性痴呆の原因として、このラクナ梗塞が多いといわれています。発症の多くは階段状に進行する血栓性様式で、症状は単純(一症状のみ)なことが多いようです。

代表的なものは、高血圧が長期間持続したことで、大脳深部の数百ミクロン以下の細い動脈(穿通枝)に引き起こされる細動脈硬化(リポヒアリノーシス)によるものです。その他に、アテローム血栓が小さな脳血管に生じて詰まった場合や、微小塞栓が飛んだことによるものもあります。

アテローム血栓性脳梗塞とは、比較的太い脳血管のアテローム硬化巣により発症する脳梗塞で、大きな脳梗塞となります。アテロームとは高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病が危険因子となり血管壁にコレステロールなどが沈着したもので、そこに血液成分が加わり凝塊を作って血栓となります。これが血管内腔を狭くするなどして詰まってしまったものがアテローム血栓性脳梗塞です。太い血管が突然詰まることはあまりないため、症状も徐々に階段状に悪化していきます。また、アテローム血栓は血小板が主体のため、もろくてはがれやすいため、血栓の一部がはがれて脳へ飛んだり、血栓が破れて急に血管が閉塞するという危険性もはらんでいます。

アテローム血栓性脳梗塞を発症する前段階として、一過性の症状が表れて、24時間以内に消失することがあります(一過性脳虚血発作)。症状が消えたからといって安心せずに、すぐに医師の診断を受けましょう。アテローム血栓性脳梗塞の原因として、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症などが挙げられます

正確に行われている心臓の鼓動が、何かの原因で心房細動が起こると、心臓の中で次々に血管に送り出されている血液が押し出されずによどんでしまい、そこに血栓ができてしまいます。心原性脳塞栓症は、心房細胞などの心臓病により、心臓内にできた血栓(フィブリン血栓)が血流によって脳に運ばれ、脳の血管を詰まらせることにより起こります。その他に、全身の静脈でできた静脈血栓が、心臓の卵円孔などを経由して右心房から左心房へ移動し(右左シャント)、脳の血管へ飛んで詰まらせることもあります。比較的高齢者に多く、突然強い症状が出るのが特徴です。

心臓内で形成された血栓と、それに起因する脳梗塞は大きいことが多く、心原性脳梗塞症は脳梗塞の中では一番重症で、突然発症して重篤な神経症状(意識障害など)になることも珍しくありません。心房細動の特徴は、鼓動と鼓動の間がすべて不規則になることです。動悸を感じたときに脈を取ってみて、おかしいと感じたら、循環器科で診断してもらいましょう。

脳梗塞は、脳出血やくも膜下出血と同じようにわたしたちを突然に襲い、ときには命を奪うこともあります。命が助かった場合でも、後遺症が残ることが多いといってよいと思います。脳の血管が詰まると血液が流れなくなるため、その部分の細胞は死滅してしまいます。しかも、脳の細胞は再生力がありません。そのため、死滅した部分の機能は失われたまま、回復するということはありません。

脳梗塞は、脳血栓と脳塞栓の2種類に大別することができます。脳血栓とは、脳の血管が動脈硬化などによって細くなって血液が流れなくなり、血栓ができてしまう場合のことを指します。つまり、脳の血管の中で血栓ができてしまい血液が流れなくなった状態のことをいいます。

一方、脳塞栓は、脳の血管の中で血栓ができてしまったのではなく,他の部位の血管でできた血栓が、血液の流れに乗って脳部分の血管に流れてきたしまった状態をいいます。

脳梗塞の中には、明らかな症状のない無症候性脳梗塞、多くは脳深部の小さな梗塞です。これは、脳への障害がまだ小さいために、具体的な症状として表れてきていないだけですので、脳卒中につながる危険性は十分はらんでいます。無症候性脳梗塞については、症状がないため見落とされてしまうことが多く、日頃のチェックが肝要です。

次のような症状が表れた場合には注意が必要です。すぐ治まった場合でも、医師の診断を受けることをお薦めします。

・体の片側がしびれ、手足に力が入らない
・足がもつれて動けない
・話したいのに、言葉が出なくなる
・ろれつが回らない
・人の話が理解できないことがある
・物が二重に見える
・片目が見えなくなったり、視界の半分が見えなくなったりする
・食べものを一時的に飲み込めないことがある

くも膜下出血とは、脳の血管に動脈瘤ができて、くも膜と脳との空間にはり巡らされた血管が傷んで出血し、脳の表面を包んでいる皮膜の空隙に流れ込んだ状態を指します。くも膜とは、脳を覆っている硬膜、くも膜、軟膜の3枚の膜の真ん中に当たる部分で、軟膜との間には脳脊髄液が流れています。くも膜下出血は、そこで出血が起こる病気です。

くも膜下出血の原因は、動脈瘤という小さなこぶです。血圧が上昇したときに、そこが破裂して激しい発作を起こし、意識不明になって倒れることもあります。くも膜下出血は、脳脊髄液の検査で出血を確認する他、CTスキャンが診断の決め手となります。血液造営検査というカテーテルを用いた検査で、はっきり見える血液の流れを連続的に観察して、原因と場所を突き止めます。

脳動脈瘤が原因であるくも膜下出血で最も危険なことは再出血です。破裂した脳動脈瘤が再破裂することは知られていますが、再破裂によりくも膜下出血が増え、脳のダメージがより深刻になり、生命の危険が高くなります。この再破裂を防止するための代表的な手術法には、開頭手術と血管内手術の2種類があります。

脳卒中は、救急医療の充実や治療法の進歩により、一時は減少したのですが、日本社会全体の高齢化と、生活習慣病の激増により、患者数は再び増加に転じています。しかも、脳卒中は時間との勝負であり、ほんの数分の遅れで命を落としたり、深刻な後遺症に悩まされることになります。

脳卒中はとても恐ろしい病気ですが、予防することは可能です。以下の項目に基づいた生活習慣を心がけてみて下さい。

1)バランスの良い食事
高脂肪、高塩分の食事は避けて、緑黄色野菜、大豆類、きのこ類、海藻などを多めに食べるようにしましょう。
2)肉よりも魚
魚の中でも、青魚(いわし、鯖、さんまなど)には血液をさらさらにするDHAやEPAという成分が含まれています。
3)十分な水分補給
体内の水分が少なくなると、血液が濃くなって血栓ができやすくなります。高齢者は特に、水分を吸収する力が減退しているので注意が必要です。
4)たばこ
喫煙者はすみやかに禁煙しましょう。自力で禁煙できない人は、医師に相談してみましょう。
5)アルコール
適度な飲酒量なら問題ありませんが、量が多いと動脈硬化の進行を早めます。動脈硬化を進行させない量としては、1日にビール中びん1本ほど、1週間に2回は飲まない日を設けましょう。

メタボリックシンドローム対策ガイド

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